過去の常識を手放し、新しく出会う「アンラーンのすすめ」
盛岡も次第に夏本番の気配を色濃くしておりますが 、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、最近ビジネスの世界で「アンラーン(Unlearn:学習棄却)」という言葉をよく耳にするようになりました。
これは単に「学ぶのをやめる」という意味ではありません。
過去の成功体験や、これまで当たり前だと思っていた「常識」を一度手放し、新しい視点を取り入れるための「心の空き容量」を作る作業のことです。
これだけ聞くとなんだか難しそうですが、実は私たちの身近な生活でも、誰もがアンラーンを経験しています。
例えば、ガラケーからスマートフォンに切り替えた時のことを思い出してみてください。
それまで指に染み付いていた「ボタンをカチカチと連打する感覚」を一度リセットし、「画面をなぞる(フリックする)」という全く新しい操作を受け入れる必要がありました。
最初のうちは「前のほうが使いやすかった」と感じたものですが、古いやり方を手放したからこそ、今ではスマホの持つ圧倒的な便利さを享受できています。
これも立派な身近なアンラーンの一例です。そして、この「アンラーン」の重要性は、決して現代に限った話ではありません。
はるか昔、歴史の転換期を創ってきた先人たちも、常にこの壁に直面し、それを乗り越えてきました。
分かりやすいのが、仏教の開祖であるお釈迦様のエピソードです。
お釈迦様は悟りを開くため、当時のインドで「正しい正解」とされていた猛烈な苦行を何年も続けられました。
しかし、体をどれほど極限まで追い詰めても本質的な救いには至らないと気づいた時、お釈迦様はそれまでの「苦行こそが正しい修行である」という常識を、勇気を持ってアンラーン(手放し)されたのです。
そして村の娘から乳粥を受け取って体力を回復させ、静かに瞑想に入られたことで、ついに悟りを開かれました。
もしお釈迦様が「せっかくここまで苦行を続けたのだから」と過去のやり方に固執していたら、仏教という壮大な思想は生まれなかったかもしれません。
私たちの身を置く葬祭業界に目を向けてみても、今まさにこの「アンラーン」が強く求められています。
現在、消費者の皆様の生活防衛意識は過去最高レベルに高まり、「義理」や「慣習」ではもう価値とみなされない時代になりました。
「お葬式だから」「昔からの決まりだから」という、かつて通用していた前提や成功体験は、現代のお客様には響かなくなってきているのが現実です。
だからこそ、私たち自身がまずアンラーンを実践し、生まれ変わる必要があります。
当社でも現在、従来の「仏事・供養」といった古い言葉や枠組みだけに固執するのをやめ、現代のライフスタイルに寄り添う「感謝の時間」や「心を整える余白」として、商品の価値を再定義する試みを始めています 。
当社のフィロソフィにおける行動指針「T:挑戦」にも、「唯一生き残るのは変化できるもの」というダーウィンの有名な言葉を引用しています。
人間は様々な要因でつい慣れ親しんだ「停滞」を選択してしまいがちですが 、これでよかったかと自分自身を見つめ直し 、常に変化しつづける姿勢が必要です 。
「アンラーン」とは、これまで先輩方が築き上げた美しい祈りの文化や歴史を否定することではありません 。
本質的な「感謝の心」を次の時代へ繋ぐために 、時代に合わなくなってしまった表面的なルールや思い込みだけを脱ぎ捨てる、前向きなステップです。
厳しい時代ではありますが、皆様と共に過去の常識を心地よくアンラーンし、お客様に本当に価値のあるサービスを共に創り上げていければと願っております。
これからさらに暑さが増してまいります。現場でご尽力されているスタッフの皆様も、どうかお身体をご自愛くださいませ。
